- 「二重入力」に含める作業の範囲
- 年間工数と人件費相当額の計算式
- 効果を大きく見せすぎない測り方
- 改善候補を選ぶための比較表
まず「同じ情報を再入力する作業」を分ける
ここでいう二重入力は、同じ注文情報を別の帳票やシステムへ人が再入力する作業です。コピー&ペースト、コードの検索、表記の置換、入力後の照合も、転記のために発生するなら同じまとまりで記録します。一方、承認や与信判断のように目的が異なる確認は、単純な転記時間に混ぜません。
自動化後も確認、例外対応、システム費用、教育時間が残ります。まずは現状負担を同じ物差しで比較するための概算として使います。
年間工数を出す5つの手順
転記の入口と出口を書く
例:「FAX注文書→販売管理」「メール本文→出荷Excel」。入力元、入力先、担当者、対象項目を1行にします。
通常時の1件時間を測る
3〜10件程度を実測し、極端に短い・長い1件だけで決めません。検索、入力、照合までを同じ範囲で測ります。
件数と稼働日を数える
日次なら「1日件数×年間営業日」、月次なら「1か月件数×12か月」。繁忙月がある場合は通常月と分けます。
手戻りを別枠で足す
入力ミス、品番不明、価格確認などは「発生件数×1件あたり追加時間」で計算し、通常入力と分けて見えるようにします。
改善後に残る作業を引く
連携後も残る確認・例外対応の見込み時間を差し引きます。削減率を先に決めず、残る手順から積み上げます。
計算式と記入例
年間通常工数(時間)=1日件数×1件時間(分)×年間営業日÷60
年間手戻り工数(時間)=年間手戻り件数×1件追加時間(分)÷60
| 項目 | 入力例 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1日件数 | 40件 | 直近5営業日の平均 |
| 1件時間 | 2.5分 | 入力・照合を10件実測 |
| 年間営業日 | 240日 | 自社カレンダー |
| 通常工数 | 400時間 | 40×2.5×240÷60 |
この400時間は説明用の仮想例です。自社の件数、時間、営業日で置き換えてください。人件費相当額を出す場合は、会社で合意した時間単価を掛けますが、給与だけでなく、どの費用を含めた単価かを明記します。
感度を確認する
| 1件時間 | 1日20件 | 1日40件 | 1日60件 |
|---|---|---|---|
| 1分 | 80時間/年 | 160時間/年 | 240時間/年 |
| 2.5分 | 200時間/年 | 400時間/年 | 600時間/年 |
| 5分 | 400時間/年 | 800時間/年 | 1,200時間/年 |
前提:年間240営業日。端数処理前の値。改善効果ではなく現状工数の試算です。
金額だけで優先順位を決めない
- 顧客への誤出荷や納期回答遅れにつながるか
- 繁忙期だけ集中し、残業や締切に影響するか
- 例外が多く、自動連携しても人の判断が残るか
- 入力元・入力先のどちらを正本とするか決まっているか
- 改善費用、保守費用、教育時間を含めても妥当か
工数が最大の箇所より、件数が安定し、項目が標準化され、例外が少ない箇所の方が小さく試しやすい場合があります。改善対象は、工数、ミス影響、実装難度の3軸で比較します。
よくある質問
計測期間はどれくらい必要ですか
最低でも通常日を複数含めます。月末・繁忙期・特定顧客だけ処理が違う場合は別に記録し、平均へ一括で混ぜない方が判断しやすくなります。
入力時間が短ければ対象外ですか
短時間でも件数が多い、照合待ちが生じる、ミス時の影響が大きい場合は候補です。時間だけでなく頻度と影響を確認します。
関連する実務記事
参考情報
- 中小企業庁「中小企業の受発注デジタル化」(2026-07-13確認)
- 中小企業庁「受発注のデジタル化に関する推進方策」(2026-07-13確認)
編集方針:株式会社ミチタスの物流IT・業務整理の経験と公開情報をもとに、現状工数を比較する一般的な試算方法として作成しています。掲載数値は仮想例で、効果を保証するものではありません。最終更新日:2026.07.13
更新日:2026.07.22
編集方針:公開情報とミチタスの実務知見をもとに、事実・仮定・説明例を区別して作成しています。特定製品の推奨、導入効果、投資回収、法令適合を保証しません。固有の顧客情報・社内情報・機密情報は使用していません。